AOB Medical Co., Ltd.
YOUR MEDICAL
CONCIERGE

BLOG

3つの幹細胞の成り立ち〈ES細胞編〉

第7回目:3つの幹細胞の成り立ち〈ES細胞編〉

ソ連、そしてアメリカをはじめとした西側諸国において、幹細胞の研究はさまざまな思惑がありながらも歩を進めてきました。そして今日、幹細胞は次のように3つに分類されています。

・胚性幹細胞(ES細胞)
・人工多能性幹細胞(iPS細胞)
・体性幹細胞

今回は胚性幹細胞の成り立ちと特徴について簡単に解説していきます。

 

まず胚性幹細胞とは、胚からつくられる多能性幹細胞です。受精卵から分離して、あらゆる細胞に分化できる多能性の能力を持っている細胞であり、シャーレの中で培養し続けることができるようにした細胞で、ES細胞(Embryonic Stem Cell)と呼ばれます。ここからは周知されているES細胞と記していきましょう。
受精した受精卵は細胞分裂を繰り返すことで将来胎児へと成長します。その初期の段階にある胚盤胞期の胚から内部細胞塊を取り出してES細胞はつくられます。

次に、その成り立ちについてお話します。

ES細胞は、1981年にイギリスの科学者マーチン・エバンス、マリオ・カペッキ、オリバー・スミシーズによって開発されました(この3人は2007年ノーベル医学生理学賞を受賞)。マウスからつくられたES細胞はシャーレで培養できるため、シャーレの中で遺伝子を操作し、その組み換えを行うことができました。
1989年、特定の遺伝子を破壊し欠損したマウス(ノックアウトマウス)を作成することに成功しまし、ノックアウトマウスと正常なマウスを比較することによって、病気と遺伝子の関係性を探求できるようになります。
それから約10年後、1998年にアメリカのジェームズ・トムソンらが、ヒトの胚からES細胞をつくることに成功し、世間から大いなる注目を集め、再生医療が歴史的な一歩を踏み出したかに見えました。
しかし、ES細胞の実用化には至りません。その主たる理由は、免疫拒絶反応や倫理的問題があり、特に倫理的な問題の影響は大きかったようです。
ES細胞は先述のとおり受精卵の成長段階から胚を抽出してつくる多様性の細胞です。ということは、ヒトの胚を抽出せずに胎内にあり続ければ、将来には胎児となりヒトとなる存在なのです。当然ながら「医療研究のために、ヒトの基となる細胞を操作する行為は許されない」という意見がありました。事実、2001年のアメリカにおいて、ブッシュ大統領はヒトES細胞研究への公的資金投入を凍結します。
ES細胞の研究は、現在においてもセンシティブな問題として取り扱われ、倫理規定やガイドラインが設けられて慎重に対応することが必要です。

次回は、人工多能性幹細胞(iPS細胞)についてお話します。

医療関係者様専用サイト

企業理念