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幹細胞とは何か?〈後編〉

第2回目:幹細胞とは何か?〈後編〉

 

前回では、幹細胞は「分化能」と「自己複製能」の2つの能力を持っていることをお話しました。

今回は、「幹細胞の種類」「再生期間」「ヒト幹細胞とは」について記していきます。

幹細胞培養上精液

■幹細胞の種類

幹細胞には「全能性幹細胞」「多能性幹細胞」「組織幹細胞」の3つの種類があります。では、それぞれの役割を要約します。

【全能性幹細胞】

全能性幹細胞とは、人間の身体を構成するすべての器官や組織にもなれる能力「分化全能性」を持つ幹細胞のことを言います。

全能性幹細胞は、8細胞期(受精卵から3回分裂した細胞)までの細胞が持つ能力で、ギリシャ神話に登場する最高神であり全知全能の神・ゼウスを想像させるような幹細胞です。

【多能性幹細胞】

多能性幹細胞とは、すべての組織細胞や生殖細胞になることができる幹細胞のことを言います。

全能性幹細胞との違いは、全能性幹細胞は器官や組織まで形成することができますが、多能性幹細胞は「個体」を形成することはできず、固有の細胞になることだけで留まります。ギリシャ神話の登場人物にたとえるならば、海洋の神・ポセイドンや豊穣の神・デメテルなどといったところでしょうか。

【組織幹細胞】

組織幹細胞とは、人間の身体が形成され、すでに各器官にある幹細胞のことを言います。

この組織幹細胞は、さまざまな細胞に分化できる能力をまだ持っており、造血幹細胞は血液系の細胞に、神経幹細胞は神経系の細胞に分化することができます。骨折や切り傷が治るのはこの組織幹細胞のおかげで、新しい細胞が補完されて健全な身体を維持することができます。

幹細胞

■再生期間

人間の身体にある細胞は、失った細胞を補うために新しい細胞を作り、常に代謝を繰り返していますが、それは幹細胞の分裂・増殖によって行われています。

その再生期間は器官によって違い、例えば一般的に肌のターンオーバーと呼ばれる表皮角化細胞の再生の場合20〜30日のサイクルで行われ、卵子の再生は24時間、頭皮の再生は4〜6年と、器官や組織によって再生期間は大きな違いがあります。

■ヒト幹細胞とは?

「ヒト幹細胞」とは、美容業界でのみ使われている幹細胞の総称・俗称です。

医療業界では、幹細胞の採取元ごとに細分化された脂肪由来幹細胞、臍帯由来幹細胞、歯髄由来幹細胞、骨髄由来幹細胞と分類しています。

現在の幹細胞を使った美容や医療では、人間の皮下脂肪から採取した脂肪由来の幹細胞が最も多く使われています。脂肪由来幹細胞は採取が容易であり、コストが安価で済むために利用頻度が高くなっているようですが、抗炎症作用があることで痛みを緩和することができ、自然治癒が不可能な軟骨組織などの修復も期待できる幹細胞として治療の取り組みが進んでいます。

次回は、幹細胞が発見されたときから現在の再生医療につながる過程、その歴史を振り返ってみたいと思います。

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