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再生医療を支える間葉系幹細胞【3】歯髄由来幹細胞

第12回目:再生医療を支える間葉系幹細胞【3】歯髄由来幹細胞

間葉系幹細胞は人体のさまざまな部位に存在しています。以前は存在しないとされてきた脳や心臓からも発見されており、幹細胞の研究は日進月歩で進化しています。
今回からは、間葉系幹細胞の中で、実際に施術に使用され、臨床実験が活発に行われている骨髄由来、臍帯血由来、脂肪由来、歯髄由来の4つの幹細胞について概要を説明していきたいと思います。

まず、最初は歯髄由来幹細胞を取り上げます。

歯の再生は人類にとって夢のようなものです。「上の乳歯が抜けたら軒下へ、下の乳歯が抜けたら屋根へ投げれば健康な永久歯が生えてくる」という古くからの言い伝えをやった人も多いと思います。
永久歯は再生能力をもっていないため、この人類の夢の実現に向けて、歯の再生医療は1920年頃からさまざまな取り組みが行われてきています。
そのような中で、2000年、歯髄由来幹細胞がGronthosらによって発見されました。
多くの研究が行われた結果、歯髄由来幹細胞は多分化能を持ち、骨髄や脂肪由来の幹細胞よりも増殖する能力や骨を作る能力が優れ、炎症を抑える免疫機能を向上させる能力も、他の幹細胞と同程度ということが報告されています。

もちろん、現在でも歯髄由来幹細胞を用いた研究と治療は活発に行われており、「日本歯科大学 校友会」(http://koyu-ndu.gr.jp/home/?page_id=45)のホームページでは、「歯髄幹細胞を用いた疾患動物モデルでの治療効果」として次のように紹介されています(2022年1月21日現在)。

歯科疾患:歯周病、う蝕(歯髄再生)、骨欠損 →臨床研究が進捗中
神経疾患:脊髄損傷、脳梗塞
筋疾患 :心筋梗塞、筋ジストロフィー
臓器疾患:肝硬変、肝線維症、糖尿病、角膜欠損、毛包欠損、下肢虚血

以前は捨てられてきた歯から得られる幹細胞によって、数多くの疾患を治すことができるという時代が今やってきています。ただし、1本の歯から採取できる幹細胞が少ないことは課題ではありますが、臍帯血バンクや骨髄バンク同様に、歯髄バンクの活動も盛んになってきており、今後の展開にも注目していきたいところです。

 

 

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